「絶対駄目です!」
眉間にしわを寄せながら
きっぱりと断るパーカス。
その目の先には 少し困った顔をしたフルートが椅子に座っていた。
「え〜。なんでさ〜」
「大体 身分が違うでわないですか!フルート様は立派なスフォルツェンドの・・・」
パーカスの説教が始まろうとしていた。
「・・・・・・だからと言ってここに置いておくのも時間の問題・・・」
ぷつんとフルートの頭のどこかが切れた。
ダン!
強くテーブルを叩く音。
それと同時にパーカスの説教も止まった。
「もぉぉぉいい!誰に何を言われようと」
「ふ フルート様?!]
「結婚してやるぅーー!!」
「は」
唖然とするパーカスであった。
フルートは部屋を飛び出して 猛スピード
どこかに走りさってしまった。
多分 ハーメルの所であると予想できた。


パーカスの予想は的中した。
場所はハーメルの部屋の前。
ちょうどハーメルは掃除をしていた。
掃除機をかけている最中だった。
コンコン
「・・・」
掃除機の音が邪魔でハーメルには届いて無かった。
コンコン
「・・・」
コンコン
「・・・」
ドン!ドン!
「?」

やっとハーメルに届いた掃除機のスイッチを切る音が聞こえた。
ガチャ・・・
「!」
ハーメルの目の前には
息を切らしたフルートがいた。
「はぁ・・・はぁ・・・」
「ど どうした?」

ぐすりと一回鼻を鳴らすと
フルートの目が潤んできた。
「ハーメル〜」
ハーメルにギュッと抱きつくフルート。
とりあえずハーメルはフルートを自分の部屋へ入れた。
廊下には人がいてこちらの様子を覗っていたからであった。
別に監視されているわけではない。
ハーメルとフルートの関係に知らない人はいないからであった。

こう有名だと『噂』というものは付きものだ。
もちろん噂は最悪のものだった。
城内だけではなく 城下町にも広まっていた。
その噂はと言うと・・・。
「勇者ハーメルは スフォルツェンドの女王の唇を無理矢理奪い取った。」
とか・・・。(他にもイロイロ)
しかも国民の30%はハーメルとの結婚に
反対していた。
その原因はクラーリィにあった。
クラーリィとのほうがお似合いだよ
っという声がこの30%の反対の理由。
パーカスの反対は 多分いままでハーメルが
フルートにしてきた事が気にくわない(なぜかはわからないが)からに違いない。
一種の愛情表現なのに・・・。



部屋のベットに座りこむ2人。
泣きじゃくるフルートの話しを聞くハーメル。
(泣いているので半分は何を言っているのか解らなかった。)

「やっぱり駄目か・・・・」
「なんでだろうね?」



「やっぱり身分とか?」
「パーカスもそんなこと言ってた。」
「解ってもらえねぇなぁ・・・。」


ふぅ と溜息をつく。
それと同時にフルートも はぁ と溜息を付いた。

ゆっくりとハーメルに寄り添る。
ハーメルはフルートの肩に手を回した。
「俺にも法力とかあれば ちっとは違ったかもな・・・。」
「・・・ それだったらあたしも言えるよ。『普通の娘になりたかった』」
「はは。そのままでいいんじゃねーの?それだったら俺は金持ちになれるしさ」
「王様にもなれるね。王様えらいしね」
「あほ。ここスフォルツェンドだろ?王様があっても王女様の方が上だろ?・・多分・・・ι。」
「うん・・・かもね・・・」
深く一回深呼吸するフルート
「3人くらいがいいな〜・・・」
「何が?」


再び静まりかえる部屋。




下を向いているフルート。
やけに顔が赤い。
「どうした?」
優しく問い掛けるハーメル。
「こ・・・」
「こ?」
「・・・」



沈黙



「なんだよ。気になるじゃねーかよ!」
「・・・うん。」
ぽりぽりと頭を掻くハーメル。
「言えないことなのか?」
間もなく首を縦に一回頷くフルート。
「ショック。」
小声で言った。
フルートは慌てて誤解を解こうとした。
「ち 違うの!そういう言えない事じゃなくて・・・」
「冗談。」
マジでこっちは悩んでるのに・・・。
それもハーメルの優しさ。
少しフルートにとっては嬉しかった。
「た ただね。こ・・・」
「だからその続きはなんだよ!」
「は 恥かしくて言えないよ!」
ほんとうにフルートの顔は恥かしさのあまりに
湯でタコになっていた。

「いや。別に無理して言わなくてもいいんだけどな。」
少し驚くハーメル。
今までこんなに話す事もなかったし。
それに恥かしい事っていったい?!
ハーメルの頭の中ではいろんな妄想が一揆に
広がって行った。
「でもね。 そう たいした事じゃないんだよね。」
「ああ〜。そう言われると夜も眠れねーよ!」
「だ だから・・・。こ・・・こど・・・」
きちんと言ったみたいだが
最後の言葉があまりの小声にハーメルの耳もとまでは届かなかった。
「はっきり言えよ!」
「こ 子供!」
「へ?」
ぼっとフルートの真赤な顔から煙がでた。
爆発したみたいだった。
「だ だから・・・子供・・・」
ハーメルもその意味にやっと気づく。
「子供・・・ねぇ」
ハーメルの顔もフルートほどではないが紅くなってきたみたいだ。
頬が熱い。




再び沈黙。




「欲しいか?」
「へっあ・・・うん。」
コクコクと上下に頭を降る。
「だれの?」
ニヤっと笑みを浮かべた
「意地悪。」
プゥとふくれるフルート。
ハーメルの中では
その「プゥ」っとふくれたフルートがたまらなく可愛かった。
今にでもくしゃくしゃに可愛がりたいくらい
メーターは上がっていた。
そんな状態なので変な考えも浮かんでくる。
-キスくらいならしてもいいんじゃねーの?-
左の耳から聞こえてくる勧誘。
-だめだ!相手の気持ちも考えないと嫌われる!-
右の耳から聞こえてくる正しい声。
-何言ってんだよ!向こうだってそれを望んでるかもしんないんだぜ-
そうだよな。フルートはして欲しいっておもってるかも・・・
-何を言ってるんだ!そんなのわからないじゃないか!-
しっかりしろ自分!
困惑するハーメルの脳内。
頭を押さえて考えこむ。
隣りに座ってるフルートには頭でもいたいのかな?
と思われいた。

すると フっと軽くなった。
優しい感じ。
「ごめんね。いきなりこんな事言って・・・混乱しちゃったでしょ。」
「あ・・・」
フルートが魔法をかけていた。
その手から出される青白い光。
ハーメルは我慢出来なくなってしまった。
差だされている手を握って 魔法を止めた。
あとはその場の勢いに任せた。



「なんでそんなに可愛いんだよ」
「そ そんなこと言われても・・・。」
口もとを押さえ、目をそらし 少し頬が紅い。
ハーメルの状態もさっきのフルート見たいに
「湯でタコ」になってきたのだった。
「そ それだったらあたしにも言わせてよ」
「?」
照れてるみたいで 目は合わせられなかった。
何を言われるか少しドキドキしていた。
「な なんで そ そんなに・・・・」
「そう緊張すんなって。」
く・・・・可愛い。
メーターがさっき以上に上がってきたのであった。
「可愛いんだ!」

「は」

し〜ん。
さっきハーメルと同じ事を言ってしまったフルート。
はっと自分の言った事に気づき
少しドギマギする。
「・・・」
「?・・・ハーメル?」
なんにも反応してくれないハーメル。
少し自分の言った事がまずかったかと心配する。

「ハーメル???」
顔を覗きこむ。
その瞬間フルートはビックっとした。

も・・・ものすごく恐い顔をしていたからであった。
「ご ごめんね」
「テメェの方が可愛いんだよ!!!」
そう言うと ハーメルはフルートを
くしゃくしゃにした。
「イヤーーー!ちょっとぉ タンマ!タンマ!!」
「うるせーーーー」
今までこんな「ジャレ合う」ことなど出来もしなかったのに
今は自然に 普通に笑い合えるし それにキスだってできる。
それがどんなに幸せな事であろうか。
こんな時間がずぅ〜〜〜っと続けばいいのに・・・。

そんな時間を壊すものだってあるかもしれないけど・・・。

ドスドスをものすごい勢いで歩いてくる音。
ハーメルとフルートは笑い声で全く気づかなかった。
が その殺気はものすごいものであった。
バン!
部屋の扉がもの凄い勢いで開く。
それと同時に笑い声も止まる。
「フルート様!!!」
「クラーリィ!」
「(ゲ・・・)」
ハーメルにとっては最悪な存在だった。
「フルート様 今の叫び声は・・・・んが!!!!」
クラーリィはやっとここがハーメルの部屋で 
フルートのすぐそばにハーメルがいる事に気づく。
「はぁぁめるぅぅぅう!!!!貴様」
「へ? あ・・・」
クラーリィのどこからか出てくる黒いオーラ
「か(覚悟)」
と言いかけたとき ヒョコっとクラーリィの前に
現れるフルート
「クラーリィさんは あたし達の結婚反対?」
「へ?」

そのフルートの勇気ある行動のおかげで
ハーメルは救われた。
その代わりクラーリィは 困っていた。
もちろんこいつとの結婚ははっきり言って
好まないのもであった。
自分の好きな人が 目の前で『結婚』だなんて 考えただけでも
涙が出てくるのに・・・
「も もちろん」
「もちろん?」
次の言葉がでてこなかった。
今すぐここを抜け出したかった。

そこへちょうどよく パーカスが現れたのだった。
「フルート様!やはりここにいましたか」
「(ゲ・・・)」
ハーメルの頭に漬物石が2個乗っかったみたいだ。
嫌みなパーカスはチラッとハーメルを見
「なにもしなかったでしょうね」
(キスはしました。)
はやくこの2人がどっかに消えて欲しい。
ハーメルはうずうずしてたまらなかった。

「したよ」
フルートは言った。
「は?」
「へ?」
同時に目が点になる パーカスとクラーリィ。
「はぁぁめるぅぅぅう!!!!やはり貴様!!!」
「ち 違うの!あたしがやったの!」
「フルート様!」
「ご ごめんなさい」
「何をしたんですか」
「そ それは・・・。」
「あ それセクハラ。」
会話に入りこんできたハーメル。
そうだ なぜそんなに気になるんだ。
別に人が何をし用と勝手ではないか。
「ちょっと ハーメル!!」
「だってそうじゃねーかよ。人のプライベートなのに何した何したって・・・」
ナワナワとパーカスの怒りのゲージがたまっていく。
ぶちぶちと音をたてはじめた。
ハーメルはやっと自分が何を言ったのか気づいた。
でも もう遅かった。



「結婚は絶対駄目です!!!」








あと書き
書いてるだけで恥かしいです。
話しは戦いが終わって
行く所のないハーメルがスフォルツェンドにお世話になっている話しです。
居候の身でチャンスを覗いフルートに結婚を申し込んだ所
一部の人間に反対されている
という話しです。
多分これがホルン様だったらOKしてるかもな〜。
広がるわぁるど。




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