「遅いね・・・フルートちゃん」
俺の目の前を行ったり来たりと うっとうしいくらいうろうろするライエル。
俺は気づかれないように カウンターの奥にある時計に目をやった。
もう10時半過ぎだった。


フルートは今朝一人で出掛けた。
サイザーが一緒に行こうとしたが
「たまには一人もいいかな〜って思ってさ・・・。」
と 言ってめずらしくオシャレをして出て行ったと サイザーは言っていた。
そのサイザ‐もフルートを探しに 30分くらい前に出て行った。


「まさか 誘拐されたんじゃ・・・」
多分 こいつは冗談でこんな事を言って 俺に心配させようとしてる。
だけど内心一番心配していたこと言われ 正直言って グサッときた。
「あんな可愛くねー奴 誘拐するなんてどこの物好きだよ!」
思っている事とは逆の言葉で言った。
それに気づいているライエルはクスクスと笑っていた。
俺はなんだか腹立たしくなってきた。(自分に)

俺らは右も左も分からぬまま森をぐるぐるさ迷っていた。
とりあえず 太陽の位置で北を確認し 北に向かった。(つもり)
2日くらい歩いていると この街に着いた。
ここはかなり大きい街でとりあえず宿屋に行って地図で確認した。
少し外れていたが北東に進んだところにあって 周りは山だらけだが
この山を東に進んで山を越えると海がある。

ここに着いて一日目はみんな疲れて どこにも出かけずに各部屋でゆっくりしていた。
いちよう部屋は2つ取ってあって1つはサイザー&フルート 
2つ目は俺とライエルとトロンが寝ている。
、が俺らの部屋には問題があってベットが2つしかない。
もちろんじゃんけん勝負だった。
俺は見事に勝ちとって ベットを手に入れた。
言うまでもないが ライエルとトロンは1つのベットに2人で寝ている・・・。
結構見た目はいいが 壁が薄く壁に耳を当てると隣りの部屋にいるサイザーとフルートの話し声がばっちり聞こえてくる。これがかなり萌える。


「トロンはもう寝たのか?」俺はこんな時にどうでも言いような事を聞いた。
「ああ・・・ ぐっすりとネ。」
っとライエルが言ったとたん 出入り口の扉が行きよい良く開いた。


「たらいま〜〜〜」
声に力が無く 舌の回りが悪い言い方に俺はギョッと目を開いて振り向いた。

「ふ フルートちゃん!?」
俺よりライエルが先に出た。 少し悔しかった。隣りには肩を支えているサイザーがいた。
かなりてんてこまいらしい。
フルートは辺りをきょろきょろを見し 俺と目があった。
かなりよろめきながらサイザーから離れ 俺の方に近寄ってきた。
少しドキドキした。
こんなになったフルートは初めて見たからであった。
それに今 俺の方に近寄って来てるではないか!
どういう態度を取ればいいのかと考えてる内に フルートは目の前にいた。
立っているだけでもフラフラしていた。
「ぉ・・・おい」
と俺が言い掛けたその時 彼女の良い香りがするふわふわな髪が俺のあごに
ゴチン! 
 と当った。
「はぁ〜めるぅ〜v」
ひらがな読みで 口から吐き出される甘い匂い(=酒臭い)に
俺の体内の温度計が急激に上昇した
「バカッ 離れろって!」
「やだよぉ」
半分泣き目になり 俺の首に腕を回してきた。かなり卑怯だと俺は思った。
こうなったら漢はどうすることもできない。
とりあえず助けを呼ぼう!
ここはやっぱ女同士のサイザーが有効だ!
っと俺は思ったが サイザーは俺と目が合うなり
「フン・・・。私は邪魔なようだな。まいい 私は疲れた。もう寝る」
と言ってつかつかと部屋に入ってしまった。
かなりショックだった。
兄妹の絆が切れたような気がした。
残るは一人。
俺の昔からの大親友!
さぁ!!親友よ 俺を助けてくれ!

が 大親友は椅子から落ちて床に倒れこんでいた。
多分 フルートが俺にいきなり抱きついたのを見て・・・
ある意味での『いきなり』はこいつの致命的存在。
しかし この状態だとどうすることもできない。

するとカウンターの奥から人の気配がした。
助かった!
心の中で涙した。
のれんに肘掛。この宿屋の店主だ。
「やれやれ。騒がしいと思ったら・・・。こんな時間にどうしたんだね。」
この店主の顔は想像つくと思うが・・・
ひげでポッチャリだ。
「あ すいません。」
俺はペコリと軽く挨拶した。
こっちに歩いてくる店主が床に倒れているライエルに気がつく。
「おわっ!っと・・・・びっくりした〜・・・。」
「あ すいません。俺の仲間です。貧血(嘘)で倒れて・・・でもこの状態だと運べないし・・・。」
俺がそう言うと 店主はライエルの肩を持ち部屋の番号を聞いてくれた。
「わかった。あんたらはまだここに居なさい。」
「?」
俺はその言葉の意味がよくわからなかったが まぁ ありがたい事だ。
そう言うと 奥へライエルを担ぎながら ずるずると消えて行った。
俺はすっかり忘れていたが フルートはまだ抱きついていた。
いいかげん離れろ!
っとは言わなかった。
はっきり言って嬉しいからである。
まぁ・・・しばらくはこうしていたい気持ちはバリバリあるが、あの店主に変な風に思われたら大変だ。
とりあえず 店主が戻ってくるのを俺はまった。

しばらくもたたないうちに 店主は戻ってきた。
「誠に言い難いんだが・・・その女の子の部屋・・・」
「どうかしましたか?」
嫌な予感がした。
「・・・鍵がかかってたみたいだよ・・・・」
ビンゴ!
「それに君達の部屋はベットがもうないじゃないか?」
うう・・・。このオヤジ 俺のベットにライエルを寝かせやがったな・・・・。
それだったらあたり前にベットが無いじゃないか!
どうしろってんだよ・・・。
「その子・・・だいぶ酔ってるみたいだね・・・」
見てわかんねーのかよ
「まぁいい。今回は特別だ。なんせ勇者一行だしな」
そういうと店主はクイクイっと右人差し指を動かした。
ついて来いって事らしい。俺はフルートを抱きかかえて店主の後について行った。

連れてこられた場所はこの宿屋の一番奥の部屋だった。
にっこり笑って店主は俺の方を見た。
「今夜はここで寝るが良い・・・」
そう言うと店主は逃げるような足取りで行ってしまった。
俺はその変な行動が気になった。
フっと部屋を見ると、な・・・なんと・・・


ダブルベットだった・・・。



嬉しいような悲しいような・・・そんな風に思われてたのかと思うと ますます悲しくなってくる。
とりあえず俺はフルートをベットの上に放り投げた。
「キャゥッ」
放り投げたと思うと いきなり俺の腕をつかんで一緒に倒れこんでしまった。
フルートは俺の下になり俺はフルートの上になってしまった。
最悪だ・・・。
まだ鍵もかけていないのに・・・。(冗談)
まぁ・・・この状態ならなんとかすり抜けるだろうと俺は思ったが
ここでまたしてもフルートに首に腕を回されてしまったのだった。
まともに顔さえ見れない。
俺はずっと目を合わせないように 顔をそらしていた。
「ハーメル」
甘い息がちょうど俺の耳の辺りにかかった。
ゾクゾクきた。
俺は初めて目を合わせた。

「な なんだよ」
「んぅ〜〜〜〜」
ゲ!!!
やばい!!このままだと身も心ももた無い。っていうかすでに限界を超していたりする・・・。
とにかくこの状況をどうにかしないと・・・。
フルートはもうすぐそこまで迫ってるぞ!!!
頭の中は『何とかしなくちゃ』しかなかった。
その言葉を何度心の中でしゃべったことやら・・・。
「なぁ〜〜〜んちゃってぇ」
「は」
ものすごく冷たい風が吹いた。
まだ秋でも無いのに俺のバックには
枯れ木一本と横からは枯葉が一枚飛んできた。
それなのにフルートはキャッキャと笑っている。
ああ〜〜情けない。
下半身も一揆にへなへなとなっていった。
まぁ・・・いつまでもこいつに笑われていたらますます凹むばかりなので
俺は今日遅かった理由を聞いた。


「ごほん!・・・まぁ・・・とにかくなんで今日は遅かったんだ。」
俺は言いながら起きあがった。
「えへへへへ〜。なのねぇ。今日はねぇ・・・」


このぬったりとして下の廻りが悪い言い方を
聞くのは大変なので・・・
俺が整理すると
まず、今日一人で出掛けたのは間違いないらしい。
まぁ・・・ぶらぶら女の子の買いものって奴だ。
ぶらぶらして帰る頃にはもう日は沈みかけてたと言う。
普通に帰って来てれば 夕飯ちょうどには帰って来てたらしい。
ここからがフルートの道を外したらしく
広場の前を通っていると 中央にある噴水の近くにある
ベンチに具合が悪そうなおじいさんがいたみたいだ。
慈愛溢れるフルートは身捨てはできず そのおじいさんに話しかけた。
そのおじいさんはちょうど友人宅に誕生日のお祝いにと
ワイン3本とりんご10個を運ぶ途中だったらしいんだけど
腰を痛めてベンチに座っていたみたいだ。

もちろんフルートはおじいさんのプレゼントを持って一緒に友人宅に行ったらしい。
まぁ ここからは大体分かると思うけど
友人宅についたとき 一緒に祝って欲しいと頼まれたみたく
結局断れずに今までずぅ〜〜〜っと飲んでいたらしい。




「だったの〜。すっごい疲れたんだからね〜〜〜」
っとフルートはそう言いながら自分のバックから
一升瓶を取りだしてきた。

「じゃじゃ〜〜〜ん!貰ってきちゃったぁ〜」



・・・未成年の飲酒だ・・・。
部屋の片隅にあるテーブルにはちょうどよく
コップが2個置いてあった。
気づかれないようにテーブルに近づいた。

「は・・・はは。それはよかったな・・・」
「んにゃ?」
多分。気づかれて無い・・・と信じながらコップを二つ取って、ベットの下に隠そうと腰を下ろし
俺はベットのシーツをめくった
「!!!!」
「えへへへへ〜〜〜」
気づかれていた。
「コップ。ちょーらい」
「・・・・」
どうする事も出来なかった。








「にゃはははははは〜」
「・・・」
ぐるぐる世界が周る。
もう何がなんだかさっぱりだ。
ただコップに注がれるお酒をひたすら飲んでいる。
「まだいっぱいあるよ〜」
トコトコトコトコ・・・・。
コップに酒が注がれる音がする。
なんて良い音なんだ。
「も・・・もう駄目・・・」
「ありゃ?」
おれは勢いに任せて仰向け倒れた。
ぼフッ っとちょうど良くベットに寝かさった。
「あたしもねりゅー」
ぼフッ
俺の右腕にフルートの頭がのっかる。
俺はそのフルートの頭をくしゃくしゃにした。
「あ〜ん。なにすんのさ〜〜(泣)」
「うるへー。だいたいお前俺に犯されてもいいのか!ん?」
自分でも何を言ってるかさっぱりだった。
「やだー。はーめるったらそんな Hなこと考えてたの〜?」
「っわりーかよ!ばぁぁか」
「バカじゃないもん。」
「バカはバカなんだよ!」
俺はもう一度くしゃくしゃにした。
「や〜〜」
半泣きになりながらも必死に抵抗するフルート。これがまた可愛い。
たまらず俺はギュッと抱きしめた。
「・・・ン」
強く抱きしめすぎたのだろうか?
フルートは微かながらに苦しそうな声を漏らした。
「痛いよ〜。ハーメルゥ 離してよ」
「・・・」
俺は目を瞑ったまま 少し力を抜いた。
とりあえず返答はしなかった。
「ハーメル?」
微かな声は聞こえるが だんだん考える力も無くなってきた。
眠気が俺を襲う。
何かまた呼ばれたような気がしたが そのまま意識は消えて行ったような気がした。












「はーめる」
・・・・?
「はーめるー。開けるよ?」
・・・・。ああ・・・ライエルだ・・・。
勝手に入れッちゅーに・・・。
ん?勝手に?
まだ上に誰かがのっかている感触があった。
まずい!!
待てライエル まだ開けるな・・・・ぁ・・・

心の中で叫んでもしかたが無いが
すでに扉は開いていた。

「は・・・はーちゃん!!」
あ〜あ・・・。もう終わった。俺の人生最悪だ。
全てはこいつのせい!!!
ん?まてよ 別にやましい事はしてないじゃないか。
それに二人は裸では無い。きちんと服を着ている。
ライエルだって昨日のフルートの状態は知っているはずだ!
それなら別に見られても・・・。


ぷしゅ――‐‐‐‐。

げ・・・ 
俺は起きあがった。
真赤な噴水が上がっていた。
あ〜あ・・・っと俺は思ってフルートの方を見た。
ぶっ!!!
俺も鼻血が少し出た。


こ こいつ 下着1枚で俺の上に寝ていたのだ。



☆END☆


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